「医療保険のムダ」というのは、すなわち「必要保障額」を超える保険金額のために支払っている保険料を指します。
「必要保障額」は、必要と見込まれる金額から 医療保険を選ぶ前に~まず公的医療保険を十分に活用 でご説明した「公的医療制度による保障」や預貯金・共働きの場合は妻の収入など「自分で手当が可能な金額」を差し引いた、残りの金額となります。
医療保険に加入することは、万一の病気やケガのときの「必要保障額」を保険料の支払いを通して手当をすることと、イコールなのです。

ですから、加入の前にすべきことは「病気やケガで医療が必要となった場合、わが家の必要保障額は一体いくらなのか」を、できるだけ現実的に、そして保険料支払いのムダが最小限となるようにシミュレートすることです。
たとえば病気で入院した場合に、一日あたりの自己負担としていくら必要か(入院日額)を考えるとします。
厚生労働省が以前調査したところによると、病気別の平均在院日数は、心疾患や胃・食道などの疾患で30日弱、糖尿病や胃がん・大腸がん・肝臓がんなどでも40日弱となっています。
入院した場合、入院日数は何日くらい?(財団法人 生命保険文化センター)
3ヶ月弱もの入院が必要となる脳血管疾患など、もちろん重い病気もありますが、それでも入院日数は50~60日前後をみておけばほとんどの場合なんとかなりそうだ...という一応の判断がたつことになります(事実、多くの医療保険において入院の限度日数は60日に設定されています)。
世帯の所得によっても異なりますが、1ヶ月に8万円を超えるほどの医療費がかかるような場合は、健康保険や国保の「高額療養費制度」が使えるはずです。
高額療養費・高額介護合算療養費(協会けんぽ)
さらに会社が健康保険組合の健康保険に加入している場合、健康保険組合が独自に設定し給付する「付加給付」があるため、1ヶ月の自己負担額はさらに少なくなるはずです。
実際の治療で欠くことのできない「かかる費用」と、差額ベッド代や特別食のように自らの判断で主体的に「かける費用」は、わけて考える必要があります。
目的を「病気(ケガ)の治癒費用の最低限のカバー」に定めるなら、「少しでも入院日額が高いほうが安心」といった受け取れる最大金額で測る選び方は不適切なことに、気づくはずです。
「個室でなければ...」とか「お見舞い返しをしなければ...」など別次元の話を考えないとすれば、おそらく自己負担として本当に必要な金額は、一日あたり5~6千円もあればたいていの場合なんとかまかなえるのではないでしょうか。
そうなると、かりに世帯の一人が病気で60日間入院したとして、5千円×60日=30万円もあれば、大半のケースにおいてカバーが可能という計算になります。
30万円ならば医療保険に入らずとも、貯金を取り崩して対応できる...という家庭も多いことでしょう。
「手もとに100万円単位の貯金があれば、家族のひとりが病気入院になったとしても、医療保険に頼らずに対応できる」というのも、ひとつの考え方です。
これを少しひねって、「入院の限度日数が60日程度の医療保険は利用せず、180日とか240日とか、もっと長期間に設定されている医療保険に加入する」という考え方をする方もいます。
60日くらいまでなら医療保険に頼らずともなんとかなると考え、半年とか一年の長期入院が必要となる深刻な病気になったケースこそ保険が必要と想定し、それをカバーできる医療保険を探していく...といった選び方です。
医療保険の必要性については、もうひとつ別のポイントもあります。
これについては、医療保険選びを難しくしている、「必要保障額の変化」とは をご覧ください。