医療保険商品 基本のしくみ(1)~入院給付金を比較 においては、医療保険が基本的に「入院給付金」「手術給付金」の二点セットから成っていること、そして入院給付金についての主なポイントをご説明しました。
ここではもうひとつの柱となる「手術給付金」について、ご説明します。
医療保険における「手術給付金」とは、文字どおり病気やケガで手術を受けたときに支払われる金額です。
商品内容を比較するときは「入院日数の何日分を給付として受け取れるか」ということで、どうしても入院給付の金額に目が行きがちです。
しかし実際にかかった医療費では、手術費用が全体のかなりの割合を占めることが普通です。

万一の病気やケガの際、あてにしていた手術給付金が支払われないとなっては泣くに泣けません。
主な医療保険商品においては、手術の中身にかかわらず「一律10万円」などと定額で固定している商品と、手術の種類に応じて5万円・10万円・20万円と給付額を変える「倍率型」の商品があります。
特に後者は、「入院日額の何倍」という設定にしているので「倍率型」と呼ばれるわけです。
入院日額5,000円で、給付倍率が20倍と設定されている場合は、10万円が支払われることになります。
ちなみに「がん重視型の医療保険」のなかには、がんによる手術のときだけ手術給付金額を倍増させるタイプの商品もあります。
関連して付け加えれば、医療保険だけでがんに対する備えもすべてカバーしようとすることは困難です。
がん治療は、手術以外にも抗がん剤治療などがありますし(医療保険の手術給付金は通常、抗がん剤治療を支払対象としていません)、さらには手術後の再発や転移といった入院治療が複数回にわたる、あるいは長期化する懸念も高い病気です。
手術給付金、すなわち定額による給付金だけでは、カバーとして金額的に心もとない面があります。
したがって、遺伝的にがんの家系ではないか...と不安に思う方は、医療保険のみならずがん専用に開発された「がん保険」もあわせて個別に検討したいところです。
がん保険と医療保険~がん治療の進歩を踏まえた選び方を
さて、手術給付金で注意しておきたい第一のポイントは、「どのような手術においても支払われるわけではなく、給付の対象となるのは、その医療保険の約款において定められている手術だけ」という点です。
したがって加入前に、検討中の医療保険ではどのような手術が支払対象とされているのか、あるいはどのような手術が免責とされているかについて、「重要事項説明書」や「ご契約のしおり(約款)」をよく読んで確認する必要があります。これらには対象となる手術の種類と、前述した「給付倍率」が記載されています。
そもそも手術の定義として「治療」が直接の目的とされているので、不妊治療手術や美容整形手術などは、はじめから給付の対象外となっています。
また公的な医療保険(健康保険や国保など)でその手術が保険支払の対象となっているかどうかは、医療保険の手術給付金支払いには関係ありません(ただし、手術給付金の支払対象を公的医療制度それにリンクさせている商品も一部存在します)。
あくまで「その医療保険商品の約款で、支払の対象となっている手術かどうか」だけが問題になります(「特約」選びのポイント~「重要事項説明書」そして「約款」 ご参照)。
さらに、支払の対象となる手術であっても「入院を前提条件とするかどうか」は、商品によって異なっています。
入院を伴わない手術を、給付金支払の対象外とする医療保険もあるので、この点にも注意が必要です。
なお最近は、定額給付に上乗せするかたちで、実際にかかった費用を限度として支払うタイプの「実損填補(じっそんてんぽ)型」の医療保険も登場してきています。
特殊な高度先進医療が必要になることが多いがん治療(先進医療特約は必要か~主保険に付けるときの注意点 ご参照)では、有用な保険として期待が集まってきています。
実損填補型の医療保険はまだ商品数も少なく、保険料も相応に高く設定されていますので、それらを踏まえた上で比較検討してみるとよいでしょう。