保険料を安くあげるために、その医療保険だけ・その保険料だけに目をとらわれた選び方では、「木を見て森を見ず」ともなりかねません。
保険業界の動向、その商品を販売する保険会社の経営状態や財務面の安全性、また自分や家族のライフプランなどをトータルに考えて、検討中の医療保険をそのなかでどう位置づけるかを判断していくことが、結果的に保険料の支払いの最適化につながります。
保険会社も営利企業ですから、将来的に業績不振となって倒産するリスクも、当然あり得ます。
あるいはほかの企業に吸収合併されてしまって、加入した保険の商品内容がいつの間にか契約者に不利な方向に改定されてしまう可能性だってあります。
たとえば加入してから数年たって万一その保険会社が倒産したとすると、また保険会社や保険商品の選び直しとなり、加入時年齢の上昇にともなって保険料も上がっているはずです。
結果的にそのぶん、保険料支出が高くついた...という事態も起こりうるわけです。
保険会社の経営状況をもっとも手軽に確認する方法は、スタンダード・アンド・プアーズなど格付機関の「格付け」をチェックすることです。
また、保険会社の格付けを独自に提供している民間格付団体もあります。
生命保険格付協会
気になった保険会社については、その会社が発行するディスクロージャー誌(経営・財務情報を公開した冊子)を取り寄せて、ここ数年の会社の業績推移や財務状態を確認するのも、長い目でみれば決してムダにならないでしょう。
ディスクロージャー資料の基本的な読み方を知るためには、社団法人 生命保険協会が発行する「生命保険会社のディスクロージャー~虎の巻」を一読しておくとよいでしょう。
生命保険会社のディスクロージャー~虎の巻(生命保険協会)
また、医療保険の保険料だけで考えず、自分が保険と名のつくものにいくつ加入していて、それらの保険料支払が年間トータルでいくらになっているのか、きちんと把握しているでしょうか?
医療保険以外にも、定期保険・養老保険・がん保険・傷害保険・子供のための学資保険・将来の親の介護に備えての介護保険・さらには共済やリストラ対策の所得補償保険まで...表を作って見直してみると、いやはや公的保険以外にもこんなにたくさん保険に入っていたのか!と驚くことも、決して珍しくありません。
保険料の名目でお金が出ていく家計のサイフは、言うまでもなくひとつです。
他の保険の保障内容も見直して、全体のバランスからみてその医療保険がどこまで必要なのか?を考えた選び方が必要でしょう。
そのためには、ネットにもあふれるおすすめ商品や口コミ情報の利用も結構ですが、なにより自分なりの情報収集方法と、商品選択の判断基準を持つために医療保険そのものについても学ぶことが大事です。
そしてそれはまた、自分の生涯の財産ともなるはずです。
保険の加入や解約については、人生の節目節目で、必ず何度も考える機会が訪れるからです。
自分でなぜその医療保険に加入したのか(あるいはしなかったのか)、数ある商品のなかからその医療保険を選んだ理由は何なのか。
かりに第三者から問われたとした場合、その理由をきちんと説明することができるでしょうか。
医療保険のタイプはそれぞれに特徴があり、一見同じようにみえても細かい点で商品ごとに異なっているため、条件をそろえて比較するのはなかなか大変です。
トータルに保険を見直すためには、たとえ一時的に相談料金をかけてでも、保険の相談経験が豊かな独立系の「ファイナンシャルプランナー(FP)」の力を借りるのも一法でしょう。
日本FP協会
また聞くところによれば、医療保険はファイナンシャルプランナーなど「保険のプロ」の間においても、その必要性についての議論がわかれるくらい難しい側面を持った保険なのだそうです。
したがって、自分および自分の家族の場合はどんな医療費用の手当てが必要になりそうか、医療保険の加入を考える前に貯蓄することが先決ではないか、加入するにせよこの特約をつけることは本当に必要なのか、といったように、さまざまな点に目を光らせながら保険会社や保険商品を比較し、加入の有無や補償範囲を決めていく姿勢を持ちたいものですね。